この記事は、配偶者の不倫が分かり、離婚するか、やり直すか、まだ決めないかで迷っている、子どものいる人に向けたものです。 先に結論です。子どものことは、離婚するかどうかを決める前からでも確かめられます。別居や離婚を前にした親に向けて、法務省と裁判所の資料は、子どもを夫婦の争いに巻き込まないこと、年齢に合わせて説明することを勧めています。離婚するなら親権者は必ず決め、養育費と親子交流も決めておくことが求められている(民法 765 条・766 条)。 相談の件数は当サイトが 2026 年 9 月時点で数えたもの、法律と手続きは民法と法務省・裁判所の原文によります。
子どもが出てくる相談 86 件。多いのは気持ちの整理と進め方で、同じ件数
当サイトの集計で、投稿者の子どもが話の中に出てくる相談は 86 件でした。悩みの型でいちばん多いのは「気持ちをどう整理するか」と「何から、どの順で進めるか」で、同じ件数で並びます。 3 番目が「費用や金額、相場のこと」、4 番目が「相手が認めない・応じないとき」、5 番目が「どこに頼むか、どう選ぶか」。4 番目と 5 番目は、ほぼ同じ件数でした。
この話題には、子どもの年齢や人数が書かれているだけの相談も入っています。子どもへの影響そのものを尋ねた相談だけの数ではありません。それでも、子どものいる人の迷いで、気持ちのことと手順のことが同じくらい出ている、とは言えます。この記事は、手順は民法と裁判所の原文で確かめ、気持ちのほうは公的な資料に書かれた範囲で書きました。並びは子どものことの話題にも置いています。
養育費・親権・面会交流の相談 49 件。順位を出せたのは費用と進め方の 2 つ
養育費・親権・面会交流の相談は 49 件。悩みの型のうち、補正前の件数が 15 件に届いて順位を出せたのは 2 つだけです。多い方が「費用や金額、相場のこと」、次が「何から、どの順で進めるか」でした。 ほかの型との大小は分かりません。
当サイトは、相談に書かれた養育費の額を数えていません。額の目安になる算定表の見方は、別居中の生活費(婚姻費用)の記事に書きました。この記事では、額をどう決めるか、どこに聞けるかを書きます。並びは養育費・親権・面会交流の話題にあります。
子どものことで確かめる 4 つ
並べ方は書き手が決めました。上の相談の「気持ちの整理」は投稿者自身の気持ちの型で、子どもへの話し方を尋ねた相談の数ではありません。1 つ目は、法務省と裁判所が子どもがいる親に向けて資料を出しているので置きました。2 つ目から 4 つ目は、離婚するときに子どものために決めることとして法務省が挙げているものです。養育費・親権・面会交流の相談では費用や金額の相談がいちばん多かった(養育費に限らず、弁護士費用なども入る数え方です)ので、養育費は額の決め方と相談先まで書きました。 全部を 1 度に確かめなくてかまいません。
1. 子どもにどう話すか
法務省の「りこんポータル」は、子どもがいる人に向けて、別居や離婚について年齢に応じて説明する、「あなたのせいではない」と伝える、子どもの今の不安や心配を聴く、の 3 つを挙げています。 聴くことは、親が知りたいことを根ほり葉ほり聴いたり、どちらの親と暮らすか子どもに決断を迫ったりすることとは違う、とも書かれています。
裁判所の資料「子どもにとって望ましい話し合いとなるために」は、もう一歩踏み込んでいます。子どもに夫婦の問題を相談したり、一方の親を非難したりすることも、子どもを父母の争いに巻き込む行為なのでやめましょう、と書いている。 子どもが知りたがっても、裁判所の手続きの書類を見せたり、互いの言い分を伝えたりすることも巻き込む行為になる、という説明です。 年代ごとの説明もあります。たとえば 4 歳頃から小学校入学頃は「自分のせいで父母がけんかしているのではないか」と不安になることがある、小学校高学年頃は一見平気そうでも内面でつらい気持ちを抱えていることがある、と書かれています。どれも「ことがある」という書き方で、どの子にも当てはまるとは書いていません。
不倫のことそのものを子どもに話すかどうか。これを直接書いた公的な資料は、見つけられませんでした。ここから先は書き手の提案です。 話すことは、これからどこで誰と暮らすか、「あなたのせいではない」、どちらの親にとってもあなたは大切、の範囲から始める。不倫の中身(相手が誰か、何があったか)は、子どもに伝えない形を先に考えてみる。 理由は、上の資料が夫婦の問題を子どもに相談することや一方の親を非難することを「巻き込む行為」としていて、不倫の中身を話すとそれに近くなりやすい、と考えるからです。子どもがもう知っている場合や、聞いてきた場合にどう答えるかは、子どもの年齢や家の事情で変わります。迷うなら、次の節の相談先や、下の気持ちの節の窓口で話してから決めてもかまいません。
2. 離婚するなら、親権と監護をどう決めるか
2026 年 4 月 1 日に施行された改正民法で、離婚後の親権者は、父母の双方にも一方にもできるようになりました(民法 819 条)。離婚の方法ごとの決まり方は離婚するか迷う人の記事の表にまとめたので、ここでは子どもの側から見た点だけを書く。
民法 817 条の 12 は、父母は子の人格を尊重し、年齢や発達の程度に配慮して養育しなければならない、と定めています。法務省のパンフレットは、この責務を親権や婚姻関係の有無にかかわらないものと説明し、人格の尊重には、子どもの意見に耳を傾け、適切な形で尊重することが含まれるとしています。 話し合いがまとまらないときや裁判離婚で家庭裁判所が親権者を決める手続きでは、家庭裁判所は父母それぞれから意見を聴かなければならず、子どもの意思を把握するよう努めなければならない、とも同じパンフレットにあります。
双方を親権者にしても、毎日のことまで一緒に決めるわけではありません。食事や服装、習い事のような日常の行為は、一方だけで決められます(民法 824 条の 2 第 2 項)。子どもの転居や進路に影響する進学先の決定のように、日常の行為に当たらないことは、双方で決めるのが原則です。 監護は、子どもと暮らして世話や教育をすること。父母の一方を「監護者」(子どもと暮らして世話や教育を担う親)と定めれば、子どもの監護や教育、住む場所の決定を、その一方に任せられます(民法 824 条の 3)。 平日と週末で監護を分けるといった「監護の分担」(世話や教育を父母で分けること)も、話し合いで決められる、とパンフレットに例があります。
3. 養育費をどう取り決めるか
こども家庭庁の案内は、養育費を、子どもを育てるために必要なお金と説明しています。子どもと離れて暮らす親にも、子どもが自分と同じ水準の生活ができるようにする義務がある。離婚するときは、金額、いつまで、どのように払うかを決め、書面に残しておくよう書いています。
書面に残すことには、改正で意味が増えました。法務省のパンフレットによると、2026 年 4 月 1 日からは、公正証書や調停調書がなくても、養育費を取り決めたときに父母で作った文書をもとに差押えを申し立てられます。この扱いを受けられる部分は、子 1 人あたり月 8 万円までです。 額の上限ではありません。額そのものは話し合いか家庭裁判所の手続きで決め、家庭裁判所の手続きでは各自の収入を基礎に算定する、とパンフレットは書いています。
2026 年 4 月 1 日以後に、養育費を取り決めずに離婚した場合も、離婚の時から続けて子どもを主に育てている親は、相手に法定養育費(子 1 人あたり月 2 万円)を請求できます(民法 766 条の 3)。ただしこれは、取り決めるまでのつなぎです。裁判所の養育費請求調停のページは、法定養育費の額は、話し合いなどで決める養育費の額の基準や標準になるものではない、と書いています。 払う側は、支払う力がないことなどを証明すれば、全部か一部を拒める。
4. 親子交流をどう決めるか
子どもが離れて暮らす親と会ったり、電話や手紙でやり取りしたりすることを、法務省や裁判所は「親子交流」と呼んでいます。法務省のページの見出しは「親子交流(面会交流)」。 民法 766 条は、協議離婚のときに父母が協議で決める事項に「父又は母と子との交流」を挙げ、子の利益を最も優先して考慮しなければならない、と定めています。
法務省は、交流の取り決めでは子どもの気持ち、日常の予定、生活のリズムを尊重するよう書いています。取り決めた内容は、口約束ではなく書面に残しておくとよい、とも。 交流の方法には、直接会うほか、ビデオ通話、電話、SNS、手紙などがある、と裁判所の資料にあります。
| 確かめること | 原文に書いてあること | 聞ける先 |
|---|---|---|
| 子どもにどう話すか | 年齢に応じて説明し、「あなたのせいではない」と伝える。夫婦の問題を子どもに相談しない(法務省・裁判所) | 自治体の相談窓口、児童相談所相談専用ダイヤル |
| 親権と監護 | 双方か一方を選ぶ。どちらが原則ということはない。日常の行為は一方で決められる(民法 819 条・824 条の 2、裁判所の Q&A) | 弁護士・法テラス・家庭裁判所 |
| 養育費 | 金額・期間・払い方を決めて書面に残す。取り決めの文書で差押えを申し立てられる(2026 年 4 月 1 日から) | 養育費・親子交流相談支援センター、家庭裁判所、法テラス |
| 親子交流 | 子の利益を最も優先して決める。子どもの気持ちや予定を尊重する(民法 766 条、法務省) | 養育費・親子交流相談支援センター、家庭裁判所 |
| DV・虐待のおそれ | 虐待のおそれ、DV のおそれなどがあると認められるとき、家庭裁判所が決める場面では必ず一方を親権者にする(民法 819 条 7 項) | DV 相談ナビ #8008、児童相談所虐待対応ダイヤル 189 |
2026 年 4 月 1 日より前に離婚した人は、変わらないことがある
改正法(令和 6 年法律第 33 号)の附則 2 条は、改正後の民法を、原則として施行前に生じた事項にも当てはめるとしています。ただし、附則に特別の定めがあるものは別で、改正前の民法ですでに生じた効力も妨げません。子どもに関わるところでは、次の 3 つが施行前に離婚した人と違います。
- 法定養育費は生じません(附則 3 条 2 項)。施行前に離婚して養育費を決めていないなら、話し合いか家庭裁判所の手続きで額を決めます。
- 施行前に養育費を取り決めていた場合、父母で作った文書で差押えを申し立てられる扱い(先取特権)は、2026 年 4 月 1 日以後に生じる分に限られます(附則 3 条 1 項、法務省のパンフレット)。
- 一方が親権者になっている場合、改正で自動的に双方の親権に変わることはありません(法務省のパンフレット)。
親権者を変えたいときは、家庭裁判所の親権者変更の調停か審判によります。申し立てられるのは子やその親族で、多くの場合は父か母です(民法 819 条 6 項、裁判所の親権者変更調停のページ)。 法務省のパンフレットは、一方から双方への変更もありうるとしたうえで、養育費を長い間、合理的な理由なく払っていなかった親への変更は認められにくいと考えられる、と書いています。虐待や DV のおそれがあるときや、父母が共同して親権を行うのが難しいときは、双方への変更は認められません。 変更の見通しは事情によります。弁護士か法テラスで聞いてください。
養育費の相談先。養育費・親子交流相談支援センターは 0120-965-419
法務省が養育費や親子交流の相談先として挙げているのが、こども家庭庁の委託事業の「養育費・親子交流相談支援センター」です(2025 年 4 月に「養育費等相談支援センター」から名前が変わりました)。 電話は 0120-965-419。携帯電話からは使えないので、携帯電話からは 03-3980-4108 にかけます。こちらは、希望すればセンターがかけ直して電話料金を負担する、とセンターのページにあります。 受付は平日(水曜日を除く)10 時〜20 時、水曜日(祝日を除く)12 時〜22 時、土曜日・祝日 10 時〜18 時で、日曜日と振替休日は休みです。メールでも相談できます。
センターの相談は、法律相談ではありません。相談員は弁護士ではないので、法的な問題を含む内容になれば法テラスなどを案内する、とセンターは書いています。 法テラスの無料法律相談は、収入と資産が一定の基準以下の人が対象で、1 回 30 分、同じ問題で 3 回まで。収入と資産は原則として本人と配偶者の合計で見ますが、離婚など配偶者が相手方になる件では、本人の収入と資産だけで判断されます。 自治体のひとり親家庭の支援窓口にも養育費などの相談員が配置されている、とセンターのページにあります。公正証書の作成や弁護士への相談を支える自治体もある(こども家庭庁の案内)。
話し合いで決まらなければ、家庭裁判所の養育費請求調停を使えます。申し立てるのは、子を監護している親です。費用は子ども 1 人につき収入印紙 1,200 円分と連絡用の郵便切手。 まだ離婚していないなら、離婚後の養育費は夫婦関係調整調停(離婚)の中で話し合えます。別居中の子どもの生活費は、夫婦の婚姻費用(婚費。夫婦や未成熟子の生活費)の分担として話し合う、と裁判所は案内しています。
親子交流の調停は、離婚前の別居中でも申し立てられる
交流の中身や方法は、まず父母が話し合って決めます。まとまらないとき、話し合えないときの行き先は、家庭裁判所の親子交流調停か審判。離婚前でも、別居中で話し合いがまとまらなければ使える、と裁判所のページにあります。婚姻中に別居している場合の親子交流も、改正後の民法 817 条の 13 で、父母の協議で決め、まとまらなければ家庭裁判所が決める、と定められました(法務省のパンフレットの説明)。
調停では、子の年齢、性格、就学の有無、生活のリズム、生活環境などを考え、子に精神的な負担をかけないように配慮して話し合いが進みます。子の年齢や発達の程度に応じて、その意見や意向を適切に尊重した取り決めを目指す、という説明です。 費用は子ども 1 人につき収入印紙 1,200 円分と連絡用の郵便切手。申立先は、相手方の住所地の家庭裁判所か、二人で合意して決めた家庭裁判所です。調停でまとまらなければ審判に移ります。
改正で、家庭裁判所の手続きの途中に交流を試しに行う仕組み(試行的実施)ができました。法務省のパンフレットによると、家庭裁判所は子どもの心身の状態に照らして相当でないときは、試行を促せません。その判断では、子どもの意見が年齢や発達の程度に応じて考慮されます。 調停や審判で子どもが手続きに加わるのを弁護士が支える「子どもの手続代理人」という仕組みもある、と法務省のりこんポータルにあります。
DV・虐待のおそれがあるとき。#8008 と 189
ここは言い切れます。家庭裁判所が親権者を決める場面では、子への虐待のおそれがあるとき、DV のおそれなどで父母が共同して親権を行うのが難しいとき、そのほか双方にすると子の利益を害するときは、必ず一方を親権者にします(民法 819 条 7 項)。 家庭裁判所が決める場面とは、話し合いがまとまらないときの審判、裁判離婚、親権者の変更のことです。法務省のパンフレットは、殴る・蹴るといった身体の暴力を伴うものに限られない、と書いています。
親子交流についても、法務省は、相手から身体的・精神的暴力などの被害を受けるおそれがあるなど、交流が子どもの最善の利益に反する場合は、父母が協力して交流を進めるという説明は当てはまらない、としています。 双方が親権者でも、DV や虐待から避難する必要があるときは「急迫の事情」として、一方だけで子どもの転居などを決められる、とパンフレットに例があります(民法 824 条の 2 第 1 項 3 号)。被害の直後に限らない、とも書かれています。 児童虐待防止法 2 条 4 号は、子どもが同居する家庭での配偶者への暴力を、保護者による児童虐待の 1 つに挙げています。
行き先は 2 つ。DV の相談は DV 相談ナビ(#8008)で、近くの都道府県の配偶者暴力相談支援センターにつながります。通話料がかかり、受付は各センターの時間内です。一部の IP 電話からはつながりません。 子どもへの虐待の相談・通告は、児童相談所虐待対応ダイヤル 189 です。近くの児童相談所につながり、通話料は無料。匿名でもかけられ、かけた人と内容の秘密は守られる、とこども家庭庁は書いています。 法務省のりこんポータルでは、189 は 365 日 24 時間受け付けとされています。
離婚しない・まだ決めない人の、子どものこと
離婚しないことも、しばらく決めないことも、選び方の 1 つです。決めるのは読む人です。 上の「1. 子どもにどう話すか」で引いた法務省と裁判所の資料は、別居や離婚を前にした親に向けたものです。それでも、子どもの前で争わない、相手の悪口を言わない、伝言役を頼まない、という点は、同じ家で暮らし続ける場合にも使える考え方だと思います(書き手の考え)。
別居する場合、子どもの生活費は夫婦の婚姻費用に含まれると考えられています。裁判所の家事事件Q&Aは、婚姻費用に未成熟子の養育費や教育費が含まれると書いています。決め方は別居中の生活費の記事に書きました。 別居中の親子交流は、上の節のとおり、離婚前でも調停を使えます。やり直すかどうかで迷う人向けにはやり直すか迷う人の記事を書きました。
気持ちがつらいときの行き先
子どものことを考える自分が、眠れない、食べられない。そうした状態が続くなら、心療内科や精神科にかかってかまいません。 裁判所の資料も、子どもを争いに巻き込まないために、まず親が自分の心の状態に目を向けることを挙げています。法務省も、親が自分をケアする時間を持つことが大事だと書いている。 誰に話せばよいか分からないときは、厚生労働省の「まもろうよ こころ」のページに、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)と、都道府県・政令指定都市の窓口が載っています。受付の曜日と時間は都道府県ごとに違います。 子育てそのものの相談は、児童相談所相談専用ダイヤル(0120-189-783)が 365 日 24 時間、無料で受け付けている、と法務省のりこんポータルにあります。