この記事は、配偶者の不倫が分かり、離婚するか、やり直すか、まだ決めないかで迷っている人に向けたものです。子どもがいる人を主に考えて書きました。 先に結論です。離婚するかどうかは、決めるのを急がなくてかまいません。ただ、決める前に確かめておくと迷いが減ることがあります。それを 5 つに書き出しました。 並びは、同じ立場の人が実際に相談していたことの多い順です。相談の件数は当サイトが 2026 年 9 月時点で数えたもの、法律と手続きは民法と法務省・裁判所の原文によります。
「離婚するかどうか」の相談 97 件。多いのは進め方と気持ちの整理
当サイトの集計で、離婚するかどうかを迷う相談は 97 件でした。悩みの型を多い順に並べると、「何から、どの順で進めるか」「気持ちをどう整理するか」「相手が認めない・応じないとき」「費用や金額、相場のこと」「どこに頼むか、どう選ぶか」の順です。 1 番目と 2 番目は、ほぼ同じ件数でした。3 番目と 4 番目も、ほぼ同じ件数です。
手順の迷いと気持ちの迷いが、同じくらい出ています。どちらか片方だけ片づけても、もう片方の迷いは消えません。手順は民法と裁判所の原文で確かめられます。気持ちは急がなくてよい。この記事は、確かめられる方を先に並べました。 並びは離婚するかどうかの話題にも置いています。
子どものことの相談 86 件でも、同じ 2 つが同じ件数で並ぶ
子どもに触れた相談は 86 件。いちばん多いのは「気持ちをどう整理するか」と「何から、どの順で進めるか」で、同じ件数で並びました。3 番目が「費用や金額、相場のこと」です。 養育費・親権・面会交流の相談(49 件)では、順位を出せるだけの件数があったのは 2 つだけでした。多い方が「費用や金額、相場のこと」、次が「何から、どの順で進めるか」です。
子どもがいると、決めることが増えます。親権、養育費、子どもと離れて暮らす親との交流。この 3 つは、2026 年 4 月 1 日に施行された改正民法で、ルールが変わりました(下の節)。 古い解説に注意。改正前の決まりのまま書かれていると、今の決まりと食い違います。子どものことの並びは子どものことの話題に、養育費と親権は養育費・親権・面会交流の話題に置きました。
決める前に確かめておく 5 つ
順番は、上の相談で多かった順です。全部を 1 度に確かめなくてかまいません。当てはまるものから読んでください。数え方と、この方法で分かっていないことはこのサイトの数え方に書きました。
1. 離婚するなら、どの方法で、どの順に進むか
いちばん多かったのは進め方の迷いです。離婚の主な方法は、夫婦の話し合いで決める協議離婚、家庭裁判所の調停、裁判です。話し合いがまとまらなければ調停、調停でもまとまらなければ裁判、という順に進みます。裁判の前には、原則として調停を経ることになっています(裁判所の Q&A)。違いは下の表にまとめました。
2. 気持ちが決まらないまま、話し合いの場を使えるか
2 番目は気持ちの整理で、1 番目とほぼ同じ件数でした。気持ちが決まらないままでも、話し合いの場は使えます。裁判所の Q&A は、夫婦関係調整の調停について、申し立てる時に離婚の意思が固まっている必要はないと書いています。 離婚するかやり直すかは、調停の話し合いの中で決めていく、という説明です。離婚を求めて申し立てても、途中で円満調整の方向に切り替えられます。申し立てた側は取り下げることもできます。
3. 相手が離婚に応じないとき、どうなるか
3 番目は、相手が認めない・応じないときのことでした。次の 4 番目とはほぼ同じ件数です。協議離婚は夫婦の合意が要ります。調停も話し合いの手続きなので、相手が出てこない、または合意ができないときは不成立で終わります。 それでも離婚を求めるなら、裁判を起こすことになります。裁判で離婚を求められる理由は、民法 770 条に 4 つ挙がっていて、その 1 つが配偶者の不貞な行為です。条文に定義はありません。不貞行為は、ふつう配偶者以外との肉体関係を指す言葉として使われます。原文は下の表の後に置きました。
4. お金のことは、何が決まっていて、何を話し合うか
4 番目は費用や金額のことで、3 番目とほぼ同じ件数でした。当サイトは、相談に書かれた金額を数えていません。額は、公的な資料に書かれたものだけを書きます。 養育費の額は、家庭裁判所の手続きでは各自の収入をもとに算定されます。そのときに使われる算定表(令和元年版)は、裁判所のサイトに載っている。養育費・財産分与・慰謝料は、離婚の調停の中で一緒に話し合えます。財産分与を家庭裁判所に求められるのは、離婚から 5 年まで(民法 768 条。2026 年 4 月 1 日以後の離婚の場合。それより前の離婚は 2 年)。
5. 誰に聞くか
並びの最後は、どこに頼むか・どう選ぶかでした。この記事では特定の事務所の名前は出しません。 法律の見通しは弁護士に、費用が心配なら法テラスの無料法律相談に、調停の申立ての書き方や必要な書類は家庭裁判所に聞けます。詳しくは下の「離婚を進めると決めたら」の節に書きました。
| 迷っていること | 原文に書いてあること | 聞ける先 |
|---|---|---|
| どの順で進むか | 協議 → 調停 → 裁判。裁判の前は原則として調停 | 家庭裁判所・弁護士 |
| 気持ちが決まらない | 調停は、離婚の意思が固まっていなくても申し立てられる | 家庭裁判所・心の相談窓口 |
| 相手が応じない | 調停は不成立で終わる。離婚を求めるなら裁判(民法 770 条) | 弁護士・法テラス |
| お金のこと | 養育費は収入をもとに算定。財産分与は離婚から 5 年まで(2026 年 4 月 1 日より前の離婚は 2 年) | 弁護士・法テラス・家庭裁判所 |
| 誰に聞くか | 法テラスの無料相談は収入と資産の基準がある | 法テラス・弁護士会 |
離婚の主な方法は協議・調停・裁判
決まり方が違います。
| 協議離婚 | 調停離婚 | 裁判離婚 | |
|---|---|---|---|
| どう決まるか | 夫婦の話し合い(民法 763 条) | 家庭裁判所の調停委員会が間に入り、合意で決まる | 証拠を出し合い、裁判官の判決で決まる |
| 理由の定め | 条文上の定めはない | 合意で決める手続き | 民法 770 条の 4 つの場合に限る |
| 公開か | (手続きの場はない) | 非公開 | 特別な事情がある場合を除いて公開の法廷 |
| 子どもがいるとき | 親権者を決めるか、その調停・審判を申し立ててから届け出る(民法 765 条) | 親権者を双方にするか一方にするかを話し合う | 裁判所が双方か一方を親権者と定める(民法 819 条) |
| 申立ての費用 | (申立てはない) | 収入印紙 1,200 円分と連絡用の郵便切手 | 手数料・郵便切手など。額は家庭裁判所の窓口で確認 |
調停が成立したら、申し立てた側は 10 日以内に市区町村役場へ離婚の届出をします。調停では財産分与・年金分割・慰謝料も一緒に話し合えます。裁判でも財産分与や養育費をあわせて申し立てられ、慰謝料を求める訴訟も一緒に起こせる、というのが裁判所の Q&A の説明です。 裁判で離婚を求められる場合は、民法 770 条に次のとおり書かれています。
夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。一 配偶者に不貞な行為があったとき。二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。四 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
2 裁判所は、前項第一号から第三号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。
不貞行為が条文に挙がっていても、手元の事情で離婚が認められるとは限りません。2 項があるためです。見通しは、証拠と事情を見せて弁護士に聞いてください。改正前にあった「強度の精神病」の号は、2026 年 4 月 1 日の改正で削られました。
2026 年 4 月 1 日から、離婚後の親権は「双方」か「一方」かを決める
2024 年 5 月に成立した改正民法(令和 6 年法律第 33 号)が、2026 年 4 月 1 日に施行されました。法務省の説明では、父母が離婚した後も子の利益を確保するため、親の責務を明確にし、親権・養育費・親子交流・財産分与などのルールを見直したものです。 それまでは、離婚後の親権者は父母の一方と決まっていました。改正後は、父母双方を親権者と定めることも、一方と定めることもできます。選べる形になりました。
| 決めること | 改正後の決まり(2026 年 4 月 1 日から) |
|---|---|
| 親権者 | 協議離婚では父母の話し合いで、双方か一方を決める。まとまらないときや裁判では、家庭裁判所が決める(民法 819 条) |
| 家庭裁判所が必ず一方と定めるとき | 家庭裁判所が決める場面(話し合いがまとまらないとき・裁判離婚・親権者の変更)で、子への虐待のおそれ、DV のおそれなどで共同して親権を行うのが難しいとき、そのほか双方にすると子の利益を害するとき(民法 819 条 7 項) |
| 子の監護 | 監護する人や監護の分担を話し合いで決める。子の利益を最も優先する(民法 766 条) |
| 養育費 | 公正証書などがなくても、父母で取り決めた文書で差押えを申し立てられる。その対象になる部分は子 1 人あたり月 8 万円まで(養育費の額の上限ではない)。施行前の取り決めは、2026 年 4 月 1 日以後に生じる分に限る。取り決めずに離婚しても、子を主に育てる親は、暫定の法定養育費(子 1 人あたり月 2 万円)を請求できる(2026 年 4 月 1 日以後に離婚した場合)。払う側は、支払う力がないことなどを証明すれば、全部または一部を拒める(民法 766 条の 3) |
| 親子交流 | 話し合いで決める。家庭裁判所の手続きの途中で、交流を試しに行う制度ができた |
| 財産分与 | 請求できる期間が離婚後 2 年から 5 年に延びた。寄与は原則 2 分の 1 ずつ(民法 768 条) |
裁判所の Q&A は、双方にするか一方にするかについて「どちらが原則、例外ということはありません」と書いています。 父母双方が親権者でも、何もかも一緒に決めるわけではありません。食事や服装のような日常のことと、急迫の事情があるときは、一方だけで決められます(民法 824 条の 2)。
法定養育費は、あくまで取り決めをするまでのつなぎです。法務省のパンフレットは、収入などを踏まえた額を話し合いや家庭裁判所の手続きで決めることが大切だと書いています。施行より前(2026 年 3 月 31 日まで)に離婚した人には、法定養育費は生じません。財産分与の期間も、施行前に離婚した人は 2 年のままです。すでに離婚して一方が親権者になっている場合も、改正で自動的に共同親権に変わることはありません。子やその親族が家庭裁判所に親権者の変更を申し立てる道はあります(民法 819 条 6 項)。
子どもと離れて暮らす親との交流は、法務省の資料では「親子交流」と呼ばれています。法テラスの案内などでは「面会交流」の語が使われています。
離婚を進めると決めたら。法テラスの無料相談は 1 回 30 分
聞く先は 3 つです。法律の見通しは弁護士、費用が心配なら法テラス、手続きの書き方は家庭裁判所です。
法テラス(日本司法支援センター)の無料法律相談は、1 回 30 分で、同じ問題について 3 回まで。収入と資産が一定の基準以下の人が対象です。離婚のように配偶者が相手方になる件では、本人の収入と資産だけで見ます。養育費・面会交流・親権などの離婚の相談もできる、と法テラスの案内にあります。 調停を申し立てるときの書式と記入例は、裁判所のサイトの「夫婦関係調整調停(離婚)」のページにあります。聞くときは、いつ何が分かったか、子どもの年齢、今の住まいと収入を 1 枚に書いて持っていくと、30 分を使いやすい。
離婚しない・まだ決めない道も、同じ重さで選べる
離婚しないことも、しばらく決めないことも、選び方の 1 つです。決めるのは読む人です。 裁判所には、関係を直すための話し合いの場もあります。夫婦関係調整調停(円満)です。夫婦関係が円満でなくなった原因や、どうすれば改善していくかを話し合う場で、離婚した方がよいか迷っている場合にも使えると裁判所のページに書かれています。
やり直すかどうかで迷う人向けにはやり直すか迷う人の記事を書きました。離婚しないまま慰謝料を請求するかどうかも、離婚とは別に考えてかまいません。
気持ちがつらいときの行き先
眠れない、食べられない、同じ場面を何度も思い出す。そうした状態が続くなら、心療内科や精神科にかかってかまいません。離婚のことは後でいい。 誰に話せばよいか分からないときは、厚生労働省の「まもろうよ こころ」のページに、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)と、都道府県・政令指定都市の窓口が載っています。相談の曜日と時間は、都道府県ごとにまちまち。 「死にたい」「消えたい」と感じるときは、同じページにある、24 時間受け付けの電話窓口も使えます。 DV に悩んでいるときは、法務省のパンフレットが案内している DV 相談ナビ(#8008)にも相談できます。